利己的開発と利他的開発

利己と利他で分けましたが、どちらが良いとか悪いとかはないです。開発動機は利己か利他なのですが、結果的には社会に役に立ちます。アプローチが違うのです。
そのアプローチによって、仕様決定工程、意思決定者、品質評価者、開発工程、価値基準はまったく別物だと言う事です。

利己的開発:自分自身の問題を解決(開発)するアプローチ

自分の困っていることを発見、開発。そして同じ問題で困っている人が使い、社会に役に立とうとするアプローチです。

すごい製品やサービスを生み出す最も単純な方法は、あなたが使いたいものを作ることだ。
自分の知っているものをデザインするのなら、作っているものがいいかどうかすぐに判断がつく。
僕たちに必要なものを作ったまでだ。


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発明家のジェイムズ・ダイソンは、自分の問題を解決した。
自宅を掃除機で掃除をしているとき、紙パック式の掃除機がどんどんパワーを失っていくことに気づいた。
ゴミが微細な穴をふさぎ、空気の流れを妨げるのだ。
これは他人の問題ではなく、彼が直接に経験した「自分の」問題だ。
だから彼は自分で解決すると決め、世界初の紙パックのないサイクロン式掃除機を作った。


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製品やサービスを作るには、毎日何百もの小さな決断を下さなければいけない。
他人の問題を解決しようとするのは、暗闇の中をむやみに進もうとしているのと同じだ。
解決しようとしているのが自分自身の問題であれば、足元は明るく、どれが正しい答えがわかるはずだ。


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彼らは自分の「かゆいところをかき」、まったく同じところがかゆい人たちという巨大な市場を見つけた。
自分で欲しいものを作れば、自分で作っているものの品質を、直接すばやく、代理を通さずに評価できる。


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なんといっても、この「自分自身の問題を解決する」アプローチでは、作り手は作るものと恋に落ちる。
問題をよく知っているだけでなく、解決の価値もよく知っている。これは何のものにも代えがたい。
しまいには、何年も(願わくは)このために働くことになる。
もしかすると残りの人生ずっと。だから本当に気にかけられることにしたほうがいい。

37シグナルズのアプローチ。書籍「小さなチーム、大きな仕事」(小さなチーム、大きな仕事―37シグナルズ成功の法則 (ハヤカワ新書juice))で言っている。
ポイントは以下になる。

  • 基準が自分なので、作っているものがいいかどうかすぐに判断がつく(自分の価値を信じてやればよい)
  • 基準が自分なので、品質を、直接すばやく、代理を通さずに評価できる
  • 基準が自分なので、自分のペースで開発する。(おそらく)デスマーチはない
  • 基準が自分なので、基準が他の人とズレているとまったく使われない可能性がある
  • 基準が自分なので、相手の要求を受け入れない。別に欲しい機能があるなら、他のソフトウエアを使ってくれ、今のソフトウエアを使いたい人がたくさんいるはずだという思想。
  • 基準が自分なので、「気づける人」でないとそもそも開発のアイデアが出てこない
  • 基準が自分なので、他人へのヒアリングはしない

利他的開発:他人の意見を聞き解決(開発)アプローチ

他人の困っていることを発見、開発。そして、社会に役に立とうとするアプローチです。

以下のURLはマイクロソフトでの例。
ひらめきへの4ステップ

ポイントは以下になる。

  • 基準が他人なので、他人へヒアリングする工程からアイデアを出す
  • 基準が他人なので、品質を他人に聞いて評価してもらうことになる。自分では評価しない。
  • 基準が他人なので、相手の要求は聞き入れる
  • 基準が他人なので、相手の要求が非常に強力な場合(政治的な力など)、デスマーチになる可能性がある
  • 基準が他人なので、使われる可能性は非常に高い。しかし、要求のヒアリングの質による。